演奏会・発表会の撮影実績はどこを見る?
カメラワーク・音・編集から、依頼先を選ぶための6つのポイント
撮影業者のサイトをいくつか回ってみても、カメラの台数や料金なら比べられるけど、実績動画の良し悪しとなるとよく分からない。そういう方は多いんじゃないかと思います。そこで今回は、会社の規模や料金の話は置いておいて、私がほかの業者の映像をチェックするとき、実際どこに注目しているのかを書いてみます。
台数や画質の条件より、実際の仕上がりを見る
4K撮影、カメラ3台、といった条件はもちろん大事です。ただ、それだけで映像の良し悪しまでは分かりません。どこを撮って、カメラをどう動かして、どうつないでいるか。そこは実際の映像を、音も出して見るのが一番早いです。
実績を見るとき、私がまず気にするのは「見ていていいなと思えるかどうか」です。最初から細かく点数をつけながら見ているわけではありません。
ただ、その「いいな」を分解してみると、ちゃんと理由があるんですよね。カメラの動きが安定している、ピントが合っている、カメラが切り替わっても色がそろっている、音がいい、カットのテンポが音楽に合っている。そういうことが積み重なって、気持ちよく見られる映像になっています。
まず、カメラが動いているところを見てみる
止まっている画面はきれいなのに、カメラが動いた途端にガクッとする。実績動画では、こういうところも見てほしいです。
左右に振るパン、上下に振るチルトがガクガクしていると、それだけで映像の質が下がって見えてしまいます。それに加えて私がけっこう気にしているのが、ズームイン・ズームアウトの滑らかさです。
というのは、業務用のビデオカメラ(カムコーダー)は電動ズームで滑らかに寄り引きしやすいんですが、写真用のズームレンズは、リングを手で回すとどうしてもガクつきやすいんです。私は映りが好きで写真用のレンズを使っているので、リグを組んでフォローフォーカスを付けて、なるべく滑らかに動かせるようにしています。
(ちなみに、滑らかに動く良いビデオ三脚はけっこう重いです。運ぶのは大変ですが、軽さを優先すると、自分が求める滑らかさに届かないことがあるんですよね。)
バンドのライブなら、多少荒っぽい動きのほうが臨場感につながることもあります。ただ、クラシックやホールの演奏会で同じことをすると、私は邪魔に感じます。滑らかかどうかに加えて、自分たちの公演に合った動きかどうかも見てみてください。
アップになったとき、見たいところにピントが合っているか
出演者に寄ったのに、顔や手元がぼやけている。それが長く続くと、せっかくのアップも見づらくなってしまいます。
撮影中は、次の奏者にカメラを向けて、構図を決めて、ピントを合わせる、という操作をしています。ズームで画角を変えたときは、ピントも取り直します。ただ、その途中まで全部、完成した動画に使う必要はありません。
Right And Leftでは、正面から全体を撮る引きのカメラを別に置いておき、寄りのカメラで次のショットを準備する撮り方を基本にしています。寄りのカメラを動かしている間は引きの映像を使えばいいので、ピントが合ってからアップに切り替えられるわけです。
なので、きれいなアップがあるかどうかだけでなく、アップに切り替わるまでの流れも見てみてください。
カメラが切り替わるたびに、色や明るさが変わっていないか
同じ場面なのに、カメラが切り替わった途端に明るくなったり、色味が変わったりする。こういう映像は、つなぎ目が気になって落ち着いて見られません。
もちろん、舞台の照明そのものが変わったなら別です。見てほしいのは、同じ照明なのに、カメラごとに不自然な差が出ていないかどうかです。
例えば、各カメラのISO感度をオートにしておくと、画角によって明るさが変わってしまいます。同じ瞬間を撮った映像なら、切り替えても明るさはそろっていてほしいので、私はマルチカメラの撮影では基本的にISOを固定しています。そのうえでLOGで撮って、編集で色を整えています。手間は増えますが、ここを省くと自分で納得できる仕上がりになりにくいんです。
暗い場面が見えにくいのは、撮影が悪いからとは限りません
「前の業者の映像は暗いところが全然見えなかったので、変えたい」というご相談をいただくことがあります。
ただ、舞台の明暗差が大きいと、一番明るい場面で白飛びしないように合わせた結果、暗い場面はかなり暗くなります。私は、暗い場面は演出として暗いのだから、その暗さは残していいと考えています。なので、Right And Leftでも同じようになる可能性があることは、見積もりの前にお伝えしています。
暗い場面もはっきり見せてほしい場合は、明るい場面の白飛びをどこまで許容するかなど、できることと限界を説明して選んでいただいています。業者を変えれば必ず解決する、という話ではないので、気になっている映像があれば見せていただけると相談しやすいです。
音も出して、演奏がどう聞こえるかを確かめる
演奏会の映像なので、画質がよくても、音が聞きづらいと楽しめません。実績を見るときは、ぜひ音も出して聴いてみてください。
私が「音が悪いな」と感じるのは、聞いていて気持ちよくなくて、演奏に集中しにくい状態です。例えば、客席後方のカメラのマイクだけで録った音。楽器から遠いので演奏がぼやけて、近くの話し声や物音も入りやすく、細かな強弱やニュアンスが伝わりにくくなります。ご家族が撮る記念の映像ならそれも臨場感ですが、プロに頼んできちんと残す映像としては、あまりおすすめできません。
かといって、会場の響きを全部なくしたいわけでもありません。私の場合は、三点吊りマイクなどで録った、なるべくきれいな演奏の音をメインにして、ホールの響きが足りないと感じたときだけ、別に録った会場の音を足しています。三点吊りの音に十分響きが入っていれば、それだけで済ませることもあります。
Right And Leftでは、基本的な外部マイク録音を基本プランに含めています。会場の三点吊りマイクなどの設備使用料は、主催者の方のご負担になります。
音楽を聴いていて、今見たい人が映っているか
ソロが聴こえているのに、別の人が映っている。見ている側としては「今演奏している人を見せてほしい」となりますよね。カットが多いか少ないかより、音楽の流れやテンポにカットが合っているかを見てほしいです。
私は自分でもギタリストとして演奏してきたので、あるフレーズをどの楽器が演奏しているかを聴き分けて、その奏者を映すようにしています。曲ごとにサックス、フルート、トロンボーン、トランペット、打楽器と主役のパートが変わるので、音楽を聴きながら主役を追っていくと、結果的にいろんな人を撮れることが多いです。
気をつけているのは、木琴や鉄琴のように、曲の中で一部分しか演奏しない楽器です。ステージを左右に流して撮っているだけだと、カメラを向けたときにはもう休みに入っていた、ということが起こります。姿が映っていればいいわけではなくて、演奏している瞬間を残したいので、出番を意識して狙っています。
つなぎ方も、ふわっと重ねるクロスディゾルブにするのか、パッと切り替えるのか、曲調や場面に合わせて変えています。見ていてなんとなく気持ちいいと感じる映像があったら、こういうところにも注目してみてください。
アップが多ければいい、というわけでもありません
表情が見えるアップはうれしいですが、踊っている足元が切れてしまったら、振付は分かりません。必要以上に寄りすぎていないか、演出の意図を外していないかも見てほしいところです。
ダンスなら、私は基本的に頭からつま先まで入れるようにしています。踊る人にとっては、顔の表情だけでなく全身が見えることが大事だと思うからです。大人数で踊る場面ならフォーメーション全体が見える引き、5〜6人のグループに焦点が当たる場面なら寄り、というように、先生が何を見せたいかを考えながら撮っています。小さなお子さんの発表会で、踊っている表情を見たいというご希望があれば、バストアップやウエストアップまで寄ることもあります。
なので、自分たちが見てほしいところが、その業者の作例でちゃんと映っているか。そこを見ると、撮り方の好みが合うかどうか分かりやすいと思います。


写真はRight And Leftで撮った画角の例です。カメラの動きや音、切り替え方は、実績動画で見ていただけます。
出演者をなるべく公平に映したい。でも、これが難しい
保護者やご家族が見る発表会なら、特定の人に偏らず、なるべくみんなが映っていてほしいですよね。私もそこはかなり意識しています。「うちの子が映っていない」と教室にご意見が届くようなことは、避けたいので。
ただ、人数が多いと、誰を何秒映したかまでは管理できません。それに、均等に映すことばかり考えていると、ソロが始まったことに気付くのが遅れることもあります。なので、ソロがあればソロを映すのを最優先にして、そのうえでなるべく偏らないように撮っています。
このバランスは、正直今でも難しいです。アップの回数を数えるより、見せ場をちゃんと押さえたうえで、出演者にも気を配っているか。そういう目で見てもらえるといいなと思います。
気に入った実績があったら、それを見せて相談する
「この映像いいな」と思うものが見つかったら、その動画を見せて相談してもらうのが一番早いです。雰囲気を言葉で説明するより、同じ映像を見ながら話したほうが、イメージのずれが起きにくいので。
ただ、その実績が何台のカメラで、何人で撮ったものなのか、編集でどこまで手を入れているのかは、案件によって違います。今回の予算や会場でも同じように撮れるのかは、確認しておいたほうがいいと思います。
| 確認する項目 | 相談のポイント |
|---|---|
| 撮影体制 | カメラは何台で、何人が操作するのか。同じような画角を、自分たちの会場でも撮れるか。 |
| 音声・編集 | 音をどうやって録るのか。色や音の調整まで含まれているか。 |
| 確認の進め方 | カメラ配置や仕上がりのイメージをどう共有するか。修正はどう伝えればいいか。 |
それから、映像以外のところも見ておいてほしいです。サイトの作りや、問い合わせたときのメールの感じ、説明や見積もりが分かりやすいかどうか。最終的には、実際に会ったり一度撮ってもらったりしないと分からない部分もありますが、こういうところは依頼する前でも分かります。
Right And Leftでも、見積もりは撮影費・編集費・機材費などをなるべく分けて出していて、カメラの配置例や「この位置に置くとこう映る」という資料も一緒にお送りしています。編集後の確認用データにはタイムコードを入れて、確認事項が多いときはスプレッドシートも用意しています。
費用については撮影料金の決まり方、依頼するときの準備は撮影を依頼する前に準備することにまとめています。
よくある質問
撮影の知識がなくても、実績動画を見比べられますか?
はい、大丈夫です。私も最初は「見ていていいなと思えるか」で見ています。まずは音も出して見て、見づらいところがないか、演奏が聞きやすいか、見たい人や動きが映っているかを確かめてみてください。
4K撮影やカメラ台数だけで選んでもいいですか?
どちらも大事な条件ですが、それだけではカメラの動かし方や編集、音の仕上げまでは分かりません。実際の映像も見てから選ぶのがおすすめです。
暗い場面がよく見えない動画は、撮影技術に問題があるのでしょうか?
それだけでは判断できません。舞台の照明や明暗差、何を優先して撮ったかでも変わります。業者を変えれば必ず明るく撮れるとは限らないので、どこまで見えてほしいかも含めて、事前に相談しておくと安心です。
料金が高い業者のほうが、いい映像を作れますか?
価格だけでは決められないと思います。高い業者は、そのぶん編集や細かいところに手間をかけていることもありますが、どのくらいの価格を適正と考えるかは業者によって違います。気に入った実績と、今回の撮影体制や編集内容が合っているか、見積もりの説明が分かりやすいかも合わせて判断してみてください。
まとめ:自分たちの公演も、こう残してほしいと思えるか
いろいろ細かく書きましたが、欠点探しをしてほしいわけではありません。最後は、自分たちの公演もこんなふうに撮ってほしいと思えるかどうかです。
個人でも会社でも、良い業者かどうかは「良い映像を作ろう」と考えているかどうかだと私は思っています。そういう気持ちは、カメラの動かし方や音の整え方、やり取りの細かいところに表れるものです。「なんとなくいい」「なんとなく違う」の理由が少し言葉にできるだけでも、相談のときに希望をずっと伝えやすくなります。
Right And Leftでは、ご希望やご予算に合わせて撮影の構成をご提案しています。最初のご相談は、開催日・会場・おおよその本番時間が分かれば大丈夫です。
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