短い商品PR動画でも、制作に時間がかかる理由
構成・スタジオ選び・撮影・編集で行っていること
完成するのは数十秒の動画なのに、なぜ制作に時間がかかるのか。カメラを回していない時間に何をしているのかも含めて、普段の商品PR動画の制作についてお話ししてみます。
完成する動画の長さと、制作にかかる時間は別です
商品を置いて撮るだけなのか、使う場面や素材の質感まで作り込むのか。同じ数十秒でも、準備するものや撮り方はかなり違います。動画が短いからといって、そこに至るまでの作業も少ないとは限らないんですね。
完成映像からは見えにくい3つの工程
短い商品動画を見て、「これなら撮影もすぐ終わるのかな」と思うことはないでしょうか。商品を置いて、何カットか撮って、音楽を付ければ完成。映像だけ見ていると、そんなふうに見えるものもあると思います。
もちろん、シンプルな撮影で十分な場合もあります。ただ、商品の使われる場面を用意したり、質感の見せ方までしっかり作り込んだりする場合は、そう簡単にはいかないんですよね。
私が特に時間を使うのは、実は撮影が始まる前です。参考動画を見ながら「これを撮るなら、どんな場所と機材が必要だろう」と考えて、それが予算の中でできるか調べていく。この時間がけっこう長いのですが、完成した映像だけでは実際にどれくらいの時間がかかったのか、理解されることはまずありません。
なので今回は、そのあたりの話を、実際に制作を進める流れに沿って書いてみようと思います。
まず、商品のよさを全部入れようとすると困る
商品PRなのだから、いいところはなるべく全部見せたい。そう思うのは自然なことだと思います。せっかく作るのですし、伝えたいことはいろいろありますよね。
ただ、それを数十秒に全部入れようとすると、情報が多くなりすぎます。あれもこれも説明しているうちに、結局どんな商品なのか、かえって分かりにくくなってしまう。
そこで私が考えるのは、「購入する人にとって、一番大きなメリットは何か」ということです。例えば柔らかい素材なら、柔らかいという特徴そのものより、それを使うとどんな気持ちよさがあるのか。メリットがあるのか。まずそこを伝えたいわけです。
それから、素材が沈むところまで寄って撮った方が伝わるだろうか。使っている場面も見せた方がいいだろうか。そんなふうに、どこへ寄るか、どんなシーンを用意するかが少しずつ決まってきます。ほかにも魅力がある場合は、メリットの大きいものから優先順位を付けて、見せる順番を考えます。
とはいえ、やりたいことが決まれば何でもできるわけではなく、予算や時間の兼ね合いを考えながら一番ベストなものを作れるように知恵を絞っていくわけですね。
スタジオ探しは、けっこう時間がかかります
撮りたい場面が見えてきたら、それを撮れる場所を探します。スタジオの写真を見て、「いい雰囲気だな、よしここにしよう」で済めばいいのですが、実際にはもう少し細かく見ていく必要があります。
私が気になるのは、「この部屋にカメラと照明を置いて、本当にこの画が撮れるのか、欲しい画が撮れるのか」というところです。写真ではよさそうに見えても、撮影に必要な距離やスペースがあるかどうかは、疑ってかかる必要があります。
資料に詳細な見取り図があれば、部屋の幅や奥行きをメートル単位で見ます。商品をここに置いたら、カメラはどこまで下がれるか。照明を置く場所は残るか。頭の中の映像を、実際の寸法に当てはめて考えていきます。自分の部屋で実際に再現してみたりもします。
そして、撮れそうだなと思ったら今度は料金も検討します。場所はよくても予算に収まらなければ、別の場所を探すか、撮り方を変えるか考え直します。私自身、この場所探しと条件の確認にはかなり時間を使っていますし、一番悩ましいところでもあります。
自分の頭の中では見えていても、相手には見えていない
場所や撮り方の見通しが立ってきたら、冒頭に何を見せて、どこで商品の魅力を伝えて、最後をどう締めるかを詰めていきます。
ここで、撮影する側の頭の中にはなんとなく映像ができていても、それが依頼者にも伝わっているとは限りません。というか、言葉だけでは絶対に伝わらないと考えるべきです。同じ「高級感のある映像」という言葉でも、お互いに思い浮かべているものが違うかもしれないですよね。
そこで、そのイメージを絵や説明にした絵コンテを作ります。「こういう場面を撮って、こう見せたいです」という意図を、撮影前に見てもらうためのものです。
これを作るのも、それなりに時間がかかります。ただ、作っておくと依頼者も仕上がりを想像しやすくなりますし、こちらも意図が伝わっているか確認できます。お互いの不安や認識のずれを減らせるので、そこに手間をかける意味は絶対にあります。
撮る内容が具体的になれば、必要な機材や小道具も決まります。当日に「あれがないと撮れない」とならないよう、いろいろなケースを想定しながら、その準備も一緒に進めていきます。
スタッフにも、何を作りたいかを伝えておく
スタッフを呼ぶ撮影では、これらと同時に日程や費用の調整も進めています。そして人数を揃えたら準備完了、ではなくて、決まった内容をスタッフにも共有しないといけません。
例えば照明を組むにしても、どんな映像にしたいかを知っているのと、当日初めて説明を聞くのとでは、動き方が変わります。狙いが分かっていれば、それぞれの担当が必要な準備や調整を考えられます。
なので、この共有はけっこう大事にしています。こちらが一つずつ指示するだけでなく、スタッフそれぞれが同じ方向を見て動ける方が、チーム全体のパフォーマンスも上がるからです。動画撮影は、チームワークがかなり大事です。とにかくたくさんの人の協力が必要になります。
ようやく撮影。でも、数秒のカットにも何百倍もの時間がかかる
ここまで準備して、ようやく撮影です。ただ、商品を置いてカメラを回せば、考えていたとおりの映像になるわけでもありません。
高級感を出したいなら、どの角度から撮るか、どう光を当てるかを詰めます。柔らかさを見せたいなら、素材が沈んだり伸び縮みしたりするところへ寄って、スローで見せることもあります。商品の置き方や動かし方、小道具や背景も、実際の映り方を見ながら調整していきます。イメージしていたものを現実に置き換えていくわけです。それがかなり時間がかかります。
そうして撮ったカットは、完成映像ではほんの数秒だったりするのがほとんどです。「その数秒に、そんなに時間をかけるの?」と思われるかもしれませんが、そうなんです。見ているだけでは分からないところに、時間と、撮影に関わる人たちの労力がかなり入っています。
天気ばかりは、こちらの都合で動いてくれない
日の光を使う場合は、さらに時間帯や天候のことも考えます。この向きから光が入るのはこの時間だから、ここで撮ろう、と段取りを組むのですが、その時間に晴れてくれるかはまた別の話です。
天候待ちは、正直、運に左右されるところが大きいです。準備すればどうにかなることばかりではないので、なかなか大変です。
余談ですが、晴れ男・晴れ女にあやかったり、雨のシーンを撮りたいときには雨男・雨女を呼んだりするところもあるらしい、なんて話を聞きます。都市伝説や縁起担ぎのような話ですけど、そこまで頼りたくなる気持ちは分かります。
天に願いつつも、晴れたらこのカット、曇ったらこちらを先に、雨が降ったら場所を変えられるか、といった別のプランも考えておきます。外ロケは、予定どおりにいかなかった場合のことまで準備するので、その分、考えることが増えるんですね。
「聞いていた話と違う」となると、さらに大変です
私も、現場に着いてから、事前に聞いていた内容と違うことが分かった経験があります。そうなると、とりあえず必死に考え直します。この機材でどうにか撮れないか、別の撮り方に変えられないか、と。
それで何とかなればよいのですが、どう考えても無理なときはあります。20㎡1DKにクライスラーのゲレンデを入れてくれといわれても無理な話です。
だから、撮影条件や変更点は、なるべく前もって共有していただきたいです。「当日に何とかすればいい」となってしまうと、撮影する側だけでなく、依頼者もほかのスタッフも大変になってしまうので。細かく確認するのは、そういう状況を避けたいからでもあります。
編集してみて、初めて分かることもあります
無事に撮り終えたら、素材を持ち帰って編集します。ここまで決めてきた構成に沿ってつなげば完成、となりそうですが、これもまた、やってみないと分からないことがあります。
例えば、映像をつないで音楽を合わせてみると、思っていたより落ち着いた雰囲気になったり、逆に少し軽く見えたりすることがあります。単体ではよいと思ったカットも、前後につなぐと印象が変わるんですね。
それで、カットの長さや順番を変えたり、音楽との合わせ方を調整したりして、仕上がりを探っていきます。依頼者にも見てもらって、「もう少しこうしたい」というところがあれば、また調整します。事前にイメージを合わせていても、実際に見ながら詰めていく部分は残るわけです。
この作業は大変ではあるのですが、私自身は、お互いに「いいものを作りたい」という同じ方向を向けていれば、そこまで苦ではありません。せっかく撮ったものなので、納得できる形にしたいですし。
ただ、作り込んでいる途中の調整と、方向性をがらっと変えて一から作り直すことは、やはり違います。撮っていない素材が必要になる場合もありますし、編集の作業量も大きく変わります。
そうした大きな変更や作業量の増加がある場合は、追加費用をご相談することがあります。できることと必要な作業を確認したうえで、どう進めるかを一緒に考えていきます。
まとめ:映像の長さより、何をどう撮るか
こんなふうに、商品PR動画は、カメラを回していないところでもかなり時間を使っています。完成した数十秒だけでは見えない部分を、少しでも知ってもらえたらうれしいです。
もちろん、すべての動画でここまで作り込むわけではありません。シンプルに撮った方がよいものもありますし、ご予算によって撮影体制も方法も変わります。なので、「何秒の動画か」だけでなく、「どんな映像を作りたいか」を聞かせてもらえると、必要な準備や費用のお話もしやすくなります。
Right And Leftでは、参考動画やご希望、ご予算を伺いながら、構成や撮影方法を考えています。商品・企業PR動画の制作をご検討の方は、「こんな感じにしたい」という映像や、希望する納期などもあわせてご相談ください。
よくある質問
15秒程度の商品動画なら、短期間で完成できますか?
何をどう撮るかによります。15秒でも、スタジオを探したり、小道具やスタッフを用意したりする場合は、その準備に時間がかかります。参考動画と希望納期をお知らせいただければ、対応できる内容をご案内します。
絵コンテは、依頼する側で作らなければいけませんか?
そんなことはありません。原則としてこちらがご用意いたします。参考動画などを見ながら、どんな映像にしたいかを伺い、撮る内容を具体的にしていきます。
撮影するスタジオ選びから相談できますか?
はい。ご希望の雰囲気や予算を伺い、撮りたいカットに必要な広さや設備があるかも確認しながら探します。
撮影後に、動画の構成を大きく変えることはできますか?
撮影済みの素材で対応できるかを確認します。追加の素材が必要になったり、編集の作業量が大きく増えたりする場合は、対応方法や追加費用をご相談します。
Contact
撮りたい映像の話を、
聞かせてください。
「まだ日程しか決まっていない」という段階でも大丈夫です。
ご予算に合わせて、いちばん良い形をご提案します。
※現在、お電話での受付は行っておりません。
フォームよりご連絡いただきますようお願い申し上げます。
